Swan Styleのスキルアップコラム

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コンパッションを高めるトレーニング

今回は
コンパッションを高めながらも
エッジから滑り落ちないためのトレーニング法
ハリファックス氏が開発したプログラム「G.R.A.C.E.」
についてです。

日本グレース研究所が数日間かけて行うものですが
今回はその中のコアである5つのステップを
平易な言葉に置き換えて紹介します。

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G:Gathering attention 
まずは自分に注意を向ける

相手に寄り添うためには、まず自分に寄り添うこと。
そのためにまずは自分を観察します。
そして抱えている多くの情報や
頭の中で勝手に始まっている先読み思考
それに伴うネガティブな感情を一度中断し、手放します。

具体的には
・動きを止める
・姿勢を伸ばし、身体の重みを感じる
・吐く息を意識しながら、深呼吸して力を抜く
です。

深呼吸は簡単なのに、とても効果的です。
医療現場による実践レポートでは
朝の朝礼で数分間のマインドフルネス瞑想を行っているところが
いくつかありました。

そんな時間がとれない、という場合は
パソコンを立ち上げるまでの数秒間や
お客さまの前に出る前の一呼吸でもかまいません。

自分自身に戻り
公平で客観的な立ち位置で
相手や物事と関わるために必要なプロセスです。

 

R:Recalling intention 
なぜこれをしているのか?目的を想い出す

「お客さまの笑顔が見たい」
「この商品をたくさんの人に知ってほしい」
「この会社が好きで入社した」

今、ここにいるのは何のためか?という動機を
再確認しましょう。
そうすると
自分の価値観に沿った行動が自然と生まれてきます。

心と行動が整うと
目の前の相手の誠実さに気が付く余裕が生まれ
敬意を払うことができるようになります。

 

 

A:Attune to self and then other 
自分と相手の波長を合わせる

身体的・感情的・認知的に
自分と相手の同調を図ってみます。

人間の脳には
本来「ミラーニューロン」という働きが
備わっています。
赤ちゃんは、大人の笑顔を見ると笑いますよね。
これは相手の状態を認知し身体的に同調しているのです。

(これが成熟すると
相手の喜びや悲しみを自分のことのように受け止める
「共感」へと育ってゆきます。)

とはいえ
相手と波長を合わせるのは難しいプロセスです。
自分と似ている相手には合わせやすいけれど
タイプが違う相手ではアンテナの感度が下がります。
そこに利害関係や好き嫌いの感情が絡めばなおのこと。

そこで第一歩として
まず自らの身体感覚、感情、思考に意識を向け
自身の感情的な反応を冷静に自覚してみましょう。

「この人の悲しみを自分は負担に感じている」
「実はこの人は苦手」

それによりフラットな立ち位置に戻れます。
自分がフラット(中立)であれば
相手の波長を受け取りやすくなります。

 

 

C:Considering what will serve 
なにが役に立つかをじっくりと考える

中立になることで得られる冷静な洞察力と
想像力を使いながら
今何をすることが良いのか?を熟考します。

その際はこれまでの成功体験や自分が得意なことに固執せず
初心に戻って考えます。

熟考とは逆説になりますが
正解や最適解が見いだせない問題などは
思考では回答が出にくいことが多いのです。
時には、感情や直感を大切にすることも大切です。

 

 

E:Engaging and Ending 
関わり、行動し、完了させる

大切なことは行動することです。
どれだけ相手に共感しても、行動しなければ伝わりません。
中立性の高い正しさ、勇気、優しさをもって
相手に関わります。

そして関わりの都度
相手と信頼関係を深めるよう心がけます。
また必要な時が過ぎたら
相手とのコンパッション的な関わりをしめくくり
潔く手放します。

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◆まとめ

これからは今まで以上に
「人とのつながり」
が大きな価値を持つ世の中になります。

つい最近熱狂的な広がりを見せた音声版SNS「Clubhouse」は
まさに「誰かとつながりたい、話をしたい」
という心の声が爆発した現象なのではないでしょうか。

そしてビジネスで言えば、AIやIoTへの進化が進むほど
「人と上手に繋がりながら、人を手助けする力」
が求められてくることは間違いありません。

これまで個人の資質に頼っていたその力を
サービス&ホスピタリティ産業や
医療、福祉、ウェルネス産業が
企業としてサポートする時代になってゆくといいなと思います。